大判例

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東京地方裁判所 昭和38年(ワ)3221号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕原告が昭和二〇年三月当時被告に雇傭され川崎保線区雑務手雇として勤務していたことおよび原告が同月一〇日午後四時頃鶴見駅構内において負傷したことは当事者間に争いがなく、右事実に原告本人尋問の結果を総合すると、原告は同月一〇日公用のため新橋保線事務所へ赴き、所用を果して同日午後四時頃職員専用列車で鶴見駅構内に到着し、線路を横断して川崎保線区事務所に帰ろうとした際、横浜方面より走行してきた機関車にはねられ腰部頭部等を強打した事実を認めることができる。

原告は、右事故は、機関車を運転していた機関士が前方に原告を認めながら、直ちに急停車の措置をとることなく、慢然同一速度で進行した過失によるものであると主張するけれども、右の事実についてはこれを認めるに足りる証拠はないのみならず、原告本人尋問の結果によれば、川崎保線区事務所のある鶴見駅構内には多数の軌条が敷設されていて貨車の入替、連結等のため始終機関車が往来し、しかもひとつの線路だけを直進するとは限らず他の線路に跨つて進む場合もあつて、局外者からはその進路の判断が困難であり、従つてその線路上を横断するには細心の注意を要する状況にあつたこと、および原告が接触した機関車の走つていた線路は、右事故の現場から横浜方面に向かつて、五、六間の所で大きくカーブし、川崎保線区事務所の蔭に隠れるような状況にあつたため見通しが悪く、平常同所の線路横断に馴れていた原告自身でさえ右機関車がカーブの所へ接近するまでこれに気がつかなかつた事実を認めることができる。以上認定の事実によれば、右機関車を運転していた機関士も、右カーブを曲りきるまでは線路上を横断している原告の姿に気づかず、これに気づいた時には、もはや急停車の措置をとつても原告と右機関車の接触を避けることができないほど原告に接近していたものと推認するに難くないから、右事故の発生についてその機関士に過失があつたと認めることは困難である。(下関忠義 中橋正夫 日比幹夫)

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